リンゴと明けの明星

ニュートンもお釈迦様もひとつのことを思索・追究して、ある時、あるきっかけでそれが大爆発したのでした。

物理学者のアイザック・ニュートンは庭仕事をしている際に、リンゴの木からリンゴが落ちるのを見て、重力に関する最初の発想を得ました。そして、宇宙の大法である万有引力の法則(重力の法則)を発見したのです。しかし、考えてみると、ニュートンが生まれる前から、リンゴの木からリンゴは落ちていました。つまり、万有引力の法則は、ニュートンの出生とは、関係なく永遠の過去から未来まで、宇宙に存在するあらゆる物を貫き、働いています。ニュートンはリンゴとの縁でそのことに気づきました。通常の物体の動きや天体の動きなどはニュートン力学で説明でき、産業機械や乗り物などの基本的なところは、ニュートン力学によって作られています。

お釈迦さまは、35歳のある日ブッダガヤという町のはずれの菩提樹の下で、静かに坐禅を組み、ついに12月8日の未明、空に美しく輝く明けの明星(金星)をご覧になり、宇宙の大法である縁起の法をお悟りなったのです。この金星もお釈迦様のお生まれになる以前から輝いていました。だから、縁起の法も、お釈迦様誕生以前から宇宙に存在し、全宇宙を貫いて働き続けています。

縁起の法は、物理学の万有引力の法則と同じく、いつどこでも、だれでも認めなければならない宇宙の大法です。さらにお釈迦さまがこの偉大なる悟りをお開きになったとき、まず口をついて叫ばれたことは、「なんと不思議なことか、人は皆仏様の智慧と徳相を具有している」というお言葉であったと言います。大法が存在するという自覚にはいられたお釈迦様が、自ら反省してみられたとき、その自覚の内容である智慧と慈悲は、修行してえられたものではなく、万人がひとしく、生れながらにして心中に内存しておるもの・霊性(仏性)であったことに気づかれて、驚喜されたのです。

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