|
|
先だった命(講演) |
|
|
3.残された者達の苦悩―――死の事実にのたうちまわっています。
4)父 |
|
私は、振り返ってみると、3つのことを思い続けている。
1つには、「あんなに良い娘が何故死ななければならなかったのか」ということ。飲酒運転の無責任なドライバーのために、善良な将来ある娘達3人が殺されたのだ。そしてこの世にいても人に迷惑をかけるだけの存在の加害者は、生きている。これは遺された家族にとっては絶対に受け入れることのできない「不条理」である。
真理子の亡くなった翌年平成12年は、
「命」を軽んずる少年達の事件が相次いだ。ある日、17歳の少年達が「人を殺す経験をしたい」と思い立って、人を殺す。また別の少年は、バスを乗っ取り、乗客を刃物で脅した末、傷つけたり殺したりする。またある少年は、怒られたはらいせに母親を殺すなどなど。事件のいきさつや動機をマスコミは、ことこまかに解説するが、遺された家族や親しい人達にはほとんど関心が集まらない。遺された家族は、なぜ、ほかの誰でもない自分が、また自分の大切な家族がこういう目にあったのか。それを問い、答えは見つからず、受け入れることのできない「不条理」に深く深く悩む。
そして、昨年平成13年は、
1) |
小学生が変質者に殺された。大阪府池田市の大阪教育大付属池田小に平成13年6月8日朝、男が乱入し低学年児童と教諭を出刃包丁で殺傷した事件で、死亡した児童は8人となった。 |
2) |
平成13年9月11日アメリカのテロ、世界が驚愕しましたね。昨日がちょうど1周忌ですね。世界貿易センターで働いていたトップビジネスマン達が多く無念の死をとげましたね。追悼集会が各国で行われています。 |
そして、今年は、
1) |
6月に、ドイツの上空で、ロシアの旅客機が貨物機と空中衝突し、71人の高校生が死亡した。痛ましかったのは、乗客のほとんどが、高校生だったこと、彼らは、ロシア南部のバシコルトスタン共和国の生徒達だった。今期の学業成績が優秀だったために、ご褒美として十日あまりの夏休みをかねた海外旅行をプレゼントされた少年達だった。 |
2) |
最近の朝日新聞の声の欄の記事――――理不尽な交通事故はあとをたちません。
例として、8月5日付:大学生(21歳)「妹の交通死に重なる理不尽」や、9月5日付:小学校教員(50歳)「不条理な死に怒りや疑問が」などがあります。 |
この世には理屈にあわないことがたくさんある。私は愛する家族と幸せに生きていた時は、その幸せを当然のように受け入れていた。それが「条理」であると考えていた。ある日突然に娘が死ぬという「不条理」がやってきた。それは受け入れられない。「条理」だけを受け入れ、「不条理」を受け入れられない。これは凡人が考えた「条理」と「不条理」であり、もっと大きなところでは、秩序があるのだろうかわからない。
|
|
|