ひと模様:娘から生命のメッセージ /島根
「娘は夢を追うことができなくなったが、皆さんは夢を追ってこれからの人生を生きてください」。99年12月に、鳥取県で起きた飲酒運転の乗用車との交通事故で、鳥取大3年生だった次女真理子さん(当時20歳)を亡くした江角由利子さん(61)=斐川町神氷=は、松江市立女子高の全校生徒にこう語りかけた。
今月26日、松江市西尾町の同校で行われた講演会。事件事故の被害者支援を行う「島根被害者サポートセンター」理事を務める江角さんは、「亡くなった娘からの生命(いのち)のメッセージ」をテーマに訴えた。
事故以降、江角さんは真理子さんを失ったショックから、何もできない状態が続いていた。「何も食べられない、外にも出られない、家事もできない。死ぬより、生きている方がつらい日々が続きました」と振り返る。
立ち直るきっかけは00年1月、「全国交通事故遺族の会」の人たちとの出会いだった。「自分よりつらい思いをしている人たちに出会い、苦しみを分かち合いました」
江角さんは現在、講演会や授業で遺族の気持ちを伝えている。県立大1年の平岡都さん(19)が遺体で見つかった事件について「英語を勉強し、夢を追っていた娘と、平岡さんはよく似ています。ご遺族の役に立つことができれば」と語った。【目野創】 |