報道関係

2008年(平成20年)5月20日(火曜日) 読売新聞
 1999年暮れ、鳥取県智頭町で飲酒運転の乗用車に衝突されて亡くなった江角真理子さん(当時20歳)ら鳥取大生3人の命の輝きを紹介する遺品展「ミニ・生命(いのち)のメッセージ展」が19日、鳥取市の鳥取大学付属図書館ではじまった。 成人式の晴れ着姿でほほえむ写真を飾った人の形のパネルや愛用の靴など約100点が並べられ、企画した遺族は「将来の夢を断たれた娘や家族の悲しみと、命の大切さを感じてほしい」と願っている。30日まで。
 江角さんと大谷知子さん(当時21歳)=ともに島根県斐川町出身=、大庭三弥子さん(同21歳)=福岡県前原市出身=の3人は3年生だった99年の12月26日未明、車で岡山県の倉敷チボリ公園に行った帰り、トンネル内で事故に遭った。
 ホームステイ先のアメリカでドレスを着た江角さん、教育実習で小学校の教壇に立つ大谷さん、タンポポの綿毛を吹く大庭さん。3人の身長に合わせたパネルには遺族のお気に入りの写真がはられ、それぞれの歩みや夢を紹介する説明文、<足跡>の象徴として履かれた靴とともに失われた命の重みを伝えている。
 遺族は事故後、飲酒運転の厳罰化を求める署名活動に参加し、刑法改正を後押しした。犯罪や事故で大切な人を失った全国の遺族が各地で遺品展「生命のメッセージ展」を開く運動にも加わり、9月に島根県出雲市で開催する準備を進めている。その一環で、母校での展示を決めた。
 この日、会場を訪れた江角さんの母 由利子さん(60)は、ドレス姿の写真を眺めるたび、見ることのかなわなかった花嫁姿を想像するという。娘の死から8年余りがたち、大学の多くの後輩は事故を知らない。「遺族や友人は悲しみを抱えて長い時を生きる。娘と同世代の若者に命の尊さを伝えたい」と話した。
 「先生はいつも明るくて、気が休まりました」。大谷さんが実習で教えた子どもたちからプレゼントされた寄せ書きには、朗らかな人情がにじむ。母浩子さん(52)は「ドライバーには、加害者にも被害者にもなってほしくない」と訴えた。
 展示に見入っていた鳥取大農学部2年の傍島さん(21)は「先輩たちが夢に向かって頑張っていた様子が伝わってきた。私も毎日を精いっぱい生きたい」と話していた。
 
 

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