報道関係

2008年(平成20年)9月15日(月曜日) 毎日新聞
「生命のメッセージ展」開幕
約4000人が訪れた「生命のメッセージ展in出雲」。来場者に感動が広がった=出雲市で
 事件や事故で理不尽に命を亡くした被害者の等身大のオブジェや遺品を展示する「生命のメッセージ展in出雲」が14日、閉幕した。出雲開催が企画されてから約2年。会場には3日間で約4000人もの人が訪れた。実行委の大谷浩子さん(52)=斐川町=は「こんなに来てくれるなんて思っていなかった。みんな真剣に見てくれて、『人の心ってあったかいな』『人ってすごいな』と思えました」と感動を語った。【小坂剛志】

 島根県で初めての開催となる「生命のメッセージ展in出雲」は、99年12月26日未明、飲酒運転の乗用車に衝突されて亡くなった鳥取大の江角真理子さん(当時20歳)、大谷知子さん(同21歳)の遺族らが企画。大谷さんの母浩子さんは「本当にやってよかった」と、涙ながらに3日間を振り返った。

 開催初日の12日、30代前半の男性が会場を訪れていた。浩子さんが話しかけると、男性は事故直後に現場を通り、知子さんの救出作業にも参加していた。「すみません、僕は何もできませんでした」。男性は事故当時のことを語り、泣きながら浩子さんに頭を下げたという。浩子さんも涙ぐみながら、男性と手を取り合い、2人で知子さんのオブジェの前でたたずんだ。「自分は最期をみとってやれなかったけど、こんなに気持ちのいい青年が横にいてくれたんだ」
 01年に始まったメッセージ展に参加してからも、会場に足を運ぶのがつらかったときもある浩子さん。「でも、メッセージ展をやっていなかったら彼と会えてなかった。本当にやってよかったし、『人の気持ちってあったかいな』と思えました」と語った。【小坂剛志】
 

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