報道関係

2008年(平成20年)12月10日(水曜日) 朝日新聞
 男性職員が9月に飲酒事故を起こした県中部総合事務所(倉吉市東巌城町)で9日、県職員対象の交通安全研修の講演会が開かれた。飲酒運転による交通事故で次女を失った島根県斐川町の住職江角弘道さん(63)が講師を務め、職員約100人に「命の大切さ」を訴えた=写真。
 江角さんの次女で鳥大生だった真理子さん(当時20)は99年12月26日、友人3人と岡山県へドライブに行った帰りに智頭町市瀬のトンネル内で飲酒運転の乗用車に正面衝突され、友人二人とともに亡くなった。江角さんは「国道9号を通ると、娘の遺体を車で自宅まで搬送した時のつらい記憶がよみがえる」と、鳥取に来ることは極力避けてきたが、「交通安全の大切さを伝えたい」と今回の講演依頼を引き受けた。
 講演では、「被害者の地獄の苦しみはずっと続く。苦しみを乗り越えられず自殺する人もいるが、私は乗り越えようとしている」と話し、今年9月に実行委員長として島根県出雲市で開いた被害者の遺品展「生命のメッセージ展」の活動や、全国の被害者と取り組んだ刑法改正の署名活動を紹介。「『命は大切』とよく聞くけれど、本当の大切さを知ったのは大切な命をなくしてからでした」とも語った。
 講演会場には、メッセージ展で展示した真理子さんら3人の遺品を添えた人形のオブジェも置かれた。江角さんの妻由利子さん(60)は「事故は明日は我が身ではなく、今日は我が身。加害者も被害者も苦しむ事故が起きないように、今日から気をつけて運転して下さい」と強調。「娘がこれを着たところが見たかった。母の切ない思いです」と、今年6月に購入したピンクのドレスも紹介した。
 
 

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