報道関係

2008年(平成20年)9月12日(金曜日) 毎日新聞
 「生命のメッセージ展in出雲」が12日、出雲市駅南町1のビッグハート出雲で始まる。会場には前回の千葉よりも1人増えた131人分の被害者のオブジェが展示される。出雲から新たに展示されるのは、元アナウンサー、浜田妙子さん(63)=鳥取県米子市=の長男拓郎さんのオブジェ。拓郎さんは松江北高校を卒業後、大阪の大学に進学。交通事故に巻き込まれて死亡した。18歳だった。浜田さんはその後アナウンサーを辞め03年4月、鳥取県議選に初当選。2期目の現在は犯罪被害者支援に取り組んでいる。強盗事件に巻き込まれた経験もある浜田さんに、あるべき被害者支援について聞いた。
【聞き手・小坂剛志】

---浜田さんの長男拓郎さんが亡くなった事故は17年前の事でした。
 ◆息子は松江北高校を卒業し、大阪の大学に進学しました。自動車が大好きで、すぐに自動車部に入りました。部の先輩の運転する乗用車の後部座席に乗って大阪府内の道路をラリー会場がある奈良県に向かっている途中でした。前の同じ部の車に衝突してスピンした上、後ろから来たタンクローリーに衝突され、先輩も息子も亡くなりました。遺族として苦しかったのは、事故がなぜ、どのように起こったのか、全くオープンにされなかったこと。息子の乗っていた車や衝突したタンクローリーのスピードはどのくらいだったのか。運転していた先輩も死亡している被疑者死亡の事件のため、警察も説明してくれませんでした。

 自動車部の学生にも色々な事を聞きました。仲間2人を亡くした学生もショックを受けて、事故原因の調査報告書も来ました。あの事故を教訓にして、その後の人生を生きてくれています。
 ---事故後、アナウンサーを辞め、島根大に社会人入学。いまでは鳥取県議として被害者支援に取り組んでいます。ご自身の体験から、被害者にはどういった支援が必要だと思いますか。
 ◆20年以上前、夫と母がけがをして入院する強盗事件に遭いました。帰ってみると、血は飛んでいるし、ガラスは割れているし。そういうところに帰らなければならない。そこから生活を始めなければならない。事件が起きるっていうことはそういうことなんです。息子の交通事故の時も、現地に行くまでのチケットや、仕事の引き継ぎ、家庭のことを考えました。日常が一変するので、その代わりを探さなければならない。日常生活やメンタル面、裁判の付き添いなどの法的支援も必要です。「助けて」って言ったら助けてくれるような、寄り添ってくれるサポートがなくちゃいけない。
 ---生命のメッセージ展では来場者に何を感じてほしいですか?
 ◆息子が何で生を受けて、死にはどんな意味があって、私がすることは何だろう。ずっと私は考えてきました。オブジェも彼からのメッセージを伝えるチャンスじゃないか。彼のメッセージとは「生きている限りは可能性がある」ということだと思います。命には限りがあります。生きている間は「楽しんでいいんだよ」って、彼から教えてもらったなと思います。
 

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