本日は皆様方年末の忙しい中をこのように大勢の方にご会葬いただきまして、厚くお礼申し上げます。
この機会に真理子のことにつき申し上げたいと思います。
二日前の突然の電話で雪の降る中を車で鳥取中央病院に駆けつけたとき、真理子・真理ちゃん、なんという変わり果てた姿をしていたでことでしょう。それも隣に君の大の仲良しの大谷さんと並んで変わり果てた姿をしているのではないか。なんということだ。無念・残念でしかたがない。憎むべき交通事故、飲酒運転で正面衝突した車、なんと不運なことか。
思えば真理ちゃんは本当に良い子でした。そしてがんばり屋・努力家でした。ご飯を食べながら英単語をおぼえていましたね。今年の夏は姉の悠子と共に自分でためたお金でヨーロッパ研修に約一カ月でかけ、大きな夢を考えていましたね。
母さんへの最後になった手紙では「いつもお世話になっています。ありがとう。イタリアのフィレンツェで買ったお土産を渡していなかったので、帰るまでまだ時間もあるし、郵便で送ることにするね。私とお姉ちゃんの趣味で選んだのだから、気に入ってもらえるかどうか分からんけど、たまにはおしゃれした時に、このネックレスをつけてくれるとうれしいな。今年もいろいろあったけど、もうすぐ終わるね。早いもんだ、もう大学生も残り少なくなってきていやだよ。(途中略)
では、年末に島根に帰るのを楽しみにしています。」
なのになんという過酷な運命なのか。君はまだ二十歳なのだ。姉の悠子ちゃん、弟の泰俊二人とも失った悲しさにずっと泣き続けています。
真理子、君の名前の真理は、お父さんが理学博士の学位をとったその年に生まれたので、真理の探究という意味で真理子とつけたと話しました。いま真理とはなにかと考えてみれば、まさしくこのような「無常の風が吹くこと」こそ真理なのだとわかりました。それを真理子は父さんに身をもって教えてくれました。「先立つ子は善知識」といいます。真理子は父さんにとってまさしく善知識さまでした。真理子、父さんはこのように君の亡くなった日に、坊主頭になりました。仏教のいう無常の世が本当の真理だとわかったのです。
おばあちゃんは、君のために歌を作りました。「突然の無常の風にさそわれて、花の二十歳で涅槃の世界へ」
真理子の浄土での冥福を祈ります。
長々と真理子のことを聞いていただきありがとうございました。本日は皆様方のおかげをもちまして、大過なく葬儀を終えることができました。心からお礼申し上げます。
ありがとうございました。
合掌
平成十一年十二月二十八日仁照寺住職 江角弘道 |
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